2・3月の IABトピックダイジェスト

今回は2~3月のIAB/IAB Tech Lab関連のトピックをいくつかまとめてみました。

目次

  1. Googleの発表に対するIABのリアクション
  2. UID2.0 – IABでの評価状況とオペレーターPrebidへの支持
  3. IAB、SKAdNetwork IDリストの管理ツールを発表

1. Googleの発表に対するIABのリアクション

今月初めにデジタル広告業界業界を騒がせるビッグニュースが流れました。Googleがサードパーティークッキーを廃止後、それに代わる個人を追跡するIDの開発/使用を行わないとブログで発表した件です。また、同じ投稿においてGoogleは、サードパーティクッキーが使えなくなった世界で主流となるであろう手法のひとつと見られていたEメールアドレスをベースとした識別子も支持しないと述べたため、Google以外のアドテクベンダーを中心にショックと混乱を招いているようです。

これにより、Googleは同社が開発・テストを進めるFLoCをはじめとした一連のプライバシーサンドボックスAPIを推進していくであろうことは分かりましたが、今後具体的に何が使えて何が使えなくなるのかについては明確に言及されていなかったため、その解釈をめぐって、憶測も含め国内外の様々なメディアで報道がなされている状況です。

【参考】Googleの発表については以下の記事で分かり易くまとめられています。
Campaign Japan: グーグル 共通IDソリューション不支持を表明-その真意は? (←CCIで翻訳を監修しています!)
DIGIDAY:[ 1分まとめ ] Google による「個人追跡」の排除は、何を意味するのか?

そんな中、このGoogleの発表に対してIABもブログで自身のスタンスを発表していましたので、紹介します:

Responding to Google’s Recent Privacy Update(Googleの最近のプライバシーアップデートへの返答)

同記事によると、

  • 今回のGoogleの発表によって、IAB/IAB Tech LabがProject Rearcを通して推進している「プライバシーに配慮したアドレサビリティのための新アプローチのポートフォリオを提供する」という計画が変更されることはない。
  • プラットフォームや業界のプレーヤーによって、プライバシーやデータ保護に対するアプローチは異なるが、その根底には共通の目標があると考えている。
  • Googleがこの発表を行う前に、業界と密接に協力してこなかったことには失望しているものの、今回の発表は今後の協力のための重要なきっかけになるはずである。Googleにも、IABやPRAMのイニシアチブに協力していただき、Googleプロダクトの評価などがしやすい状況にしてほしい。
  • Googleの発表の具体的な意味合いについては、IABでも分かりかねる部分が多いため、今後Googleと協力して理解を深めていく。

というようなことが記載されています。IABのような業界団体に協調姿勢をみせることなく今回のような発表を突然行ったことについては遺憾であるものの、業界として目指す方向性(=ユーザープライバシーに配慮したデジタルエコシステム)は同じであるため、これをきっかけにGoogleや他社との更なる協力体制を構築していきたい、というのがIABの考えのようです。

本件については日々いろいろな報道や情報のアップデートがあるため、今後も状況を注意していく必要があるでしょう。

2. UID2.0 – IABでの評価状況とオペレーターPrebidへの支持

先日の投稿で、IAB Tech LabとPRAM(Partnership for Responsible Addressable Media)が共同で、TTDが提唱・開発を行うUnified ID 2.0(UID2)の評価検証を行うことをお伝えしましたが、その後の進捗状況がIAB Tech Labのブログ記事「Working Together To Support UID2」(UID2サポートのための協力)に投稿されています。

それによると、IAB Tech LabとPRAMでは数週間に渡ってUID2のシステム設計や暗号化/ハッシュ化のスキーム、ユースケースやワークフローなどについてレビューや協議を行ってきたということです。また、UID2のコードベースやオープンソースのライセンスモデルについて中立的な監視体制を敷くことや、Tech LabやPRAM、その他の業界ステークホルダーの役割を明確化することを提言しています。

そしてUID2の運用/維持管理に必要な3つの技術基盤/サービスを以下のように分類しています:

  • ”管理者(Admin)”サービス
    分散型UID2エコシステムのために暗号化/復号化キーとソルトバケットを管理・配布するセントラルユーティリティ。これらは、オペレーターがその役割を果たすために、またUID2参加者がUID2トークンにアクセスするために必要となる。
  • ”オペレーター(Operator)”サービス
    オペレーターはUID2トークンを生成・管理する。複数のオペレーターが存在できるように設計されている。オペレーターは、管理者サービスの暗号化キーとソルトバケットを使用してユーザーから提供されたデータ(Eメールや電話番号)を安全なUID2トークンに変換し、アドレサビリティを実現できるようにする。
  • ユーザーコントロールサービスと技術的説明責任
    ユーザーの透明性とコントロールを可能にするAPIも用意されており、監査可能な方法で管理者やオペレーターにユーザープリファレンスを伝えることができるようにする。

結果として、Tech Lab自体は技術標準策定団体のため、自身は(パーソナルデータの取り扱いやID生成を担う)オペレーターとしての役割には不適であると位置づけ、むしろ管理者の技術的役割を担うことが適しているという結論になったようです。

また、Tech Labは、同時期にTTDとPrebidにより発表された「PrebidがUID2のオペレーターになる」という発表に関しても支持する姿勢を見せており、「UID2のシステム設計において、Prebidが信頼できるオペレーターのひとつとなることを心強く思っています。Tech LabはUID2の管理者として、Prebidおよび他のUID2オペレーターと緊密に連携し、UID2トークンの生成と配布が、消費者のプリファレンスとブランドやパブリッシャーとの直接的で信頼できる関係に沿って機能していることを確認していきます(すべてPRAMと連携します)。」と述べています。

3. IAB、SKAdNetwork IDリストの管理ツールを発表

iOS14にて、IDFAを使わずにアトリビューションの受け渡しをする仕組み「SKAdNetworkフレームワーク」を含むAppleの新しいプライバシー機能の施行が間近に迫っている中、IAB Tech LabはSKAdNetwork IDリストを管理・維持するための新しいツールのリリースを発表しました。

SKAdNetwork(SKはStoreKitの略)は、Appleが開発者向けに提供しているフレームワークの一部で、広告主がユーザーのプライバシーを維持しながら(=つまりIDFAの受け渡しをせずに)iOSアプリのモバイル広告キャンペーンのアトリビューションを測定することを目的とした機能で、これを利用するためには、広告主やDSPなどの広告ネットワークは、SKAdNetwork IDをAppleに登録、承認される必要があります。

IAB Tech Labでは、2020年9月にOpenRTBでSKAdNetworkに対応するための拡張機能を発表しましたが、その時に未解決課題として挙げられていたのが、OpenRTBで受け渡すSKAdNetwork IDリストが長くなりすぎてOpenRTBの負荷が増大するという懸念でした。その対策として浮上し今回実現したのが、Tech LabにてSKAdNetwork IDリストを管理・公開し、パブリッシャーやAppデベロッパーが使えるようにするというものです。

既にAppleのSKAdNetworkAPIに対応している広告ネットワーク、DSP、広告主はIAB Tech Labが管理するIDリストに登録することが可能となっており、Tech LabではAppleの新プライバシー機能施行前にできるだけ早く登録を済ませるようアナウンスしています。

詳細とリストの登録方法はこちら:https://iabtechlab.com/blog/register-now-for-iab-tech-lab-skadnetwork-id-list/

※リストへの登録は有料となるようです。
Tech Lab会員:150ドル
Tech Lab非会員:200ドル

また、パブリッシャーやAppデベロッパーはTech Labポータルに登録することで自身のplistに使用するIDリストを無料ダウンロードできる(もしくはAPIエンドポイントでのアクセス)ということです。
http://tools.iabtechlab.com/skadnetwork


IAB Tech Labについて

IAB Tech Lab (The IAB Technology Laboratory) は、米国のインタラクティブ広告業界団体であるIABが設立した、デジタルメディアとデジタル広告業界におけるグローバルな技術標準の確立と導入を促進するための国際的な研究・開発のコンソーシアムです。CCIは2017年1月からTech Lab会員となっています。